どのような病院や医師を信頼できるかという基準は、人によって差があります。
病院について考えてみると、建物や設備が新しく、大きな病院がいいという方もいれば、建物よりも症例数や実績が気になる方もいるはずです。
医師についても、人柄がよく、説明が上手な医師を信頼できると感じる方もいれば、専門的な知識や技術をどれだけ身につけているかが知りたい、という方もいると思います。
こういった情報の一部分は、インターネットなどを通じて調べることができます。
【医療機関(病院)について】
様々な基準を満たし厚生労働省の指定を受けている『がん診療連携拠点病院や小児がん拠点病院等』についての情報をまず確認しましょう。
お住まいの地域のがん診療連携拠点病院等に関しては、『国立がん研究センター がん情報サービス』のホームページにある『相談先・病院を探す』のページが参考になります。病名、お住まいの地域などから、探すことができます。また、がんの拠点病院には、がん相談支援センターが設置されており、その病院にかかっている以外の方でも利用できます。がん相談支援センターの連絡先も掲載されています。
これらのがんの拠点病院というのは、専門的ながん医療の提供、がん診療の地域連携協力体制の構築、がん患者さんやそのご家族に対する相談支援や情報提供などを行っている病院です。つまり、各都道府県のがん医療の中心となっている病院といえます。
がん専門病院や大学病院がいいと思う方もいらっしゃいますが、上記のがん拠点病院のなかには、一般の総合病院等も含まれています。つまり、がん専門病院や大学病院でなくても、さまざまな基準を満たしているがんの拠点病院が各都道府県にあります。
また、がん専門病院や大学病院では、一般病院での治療が難しい患者さんも多いため、予約待ちの期間があったり、外来診療も待ち時間が長く1日がかりになってしまったり、入院待機期間が長くなってしまいがちです。
一方で、できるだけ自宅から近い病院にかかりたい、今までかかったことがあり、信頼している先生に診てもらいたいと考える人もいるはずです。
つまり、自分がどのような基準で病院を選ぶかで、検討する医療機関も異なってくるのです。
また、最近では、多くの病院はホームページを開設しています。病院によっては、フロアや病室の様子、各診療科の治療内容、治療の実績などについて掲載している場合もあります。
【医師について】
医師については、『専門的な知識や技術を身につけている』という点では、学会などが認定している専門医や認定医の資格が一つの目安になります。専門医や認定医がどの病院にいるかは、各学会のホームページなどから調べることができます。また、病院のホームページの医師の紹介の中に、専門医や認定医の資格等も記載している病院もあります。
ただ、十分な知識や技術を持っていても、時間的な制約などから、認定を受けていない医師もたくさんいます。自分の担当医が認定を受けていないというだけで、不安や不信を感じる必要はないでしょう。
がんの治療は長期になることもあり、自分が安心できる病院や医師を探すのは大切です。
その反面、病院や医師に理想を求めすぎると、探すのに時間がかかり、場合によっては、治療の機会を逃してしまうことにさえなりかねません。
医師は、病気の治療のパートナーではありますが、人生のパートナーではありません。
多少気になるところはあっても、治療のための設備や技術に満足しているのであれば、『病気を治すため』と割り切っておつきあいをしていくというのも、一つの方法です。
もう一つ、医師とのおつきあいの中で気をつけたいのは、たった一つの出来事や言葉のすれ違いがあったために、それまで作ってきた相手との信頼関係を全部投げ出したり、諦めたりしてしまうのは、とてももったいないことだということです。
がんと診断されることは、誰にとっても衝撃が大きく、そのなかで病院を選ぶことは、大変難しいと思います。
家族など周囲の人に相談するのは、1つの方法です。相談することで、いろいろな意見を聞くことができますし、人と話すことで気持ちが落ち着き、いろいろと考えるきっかけになることもあります。ご家族の勧めた病院に決めたとしても、最終的にその病院に決めるのは、自分自身であることに変わりはありません。
また、かかりつけ医がいれば、その先生に相談してみるのもよいでしょう。どこの医療機関が良いのかアドバイスをもらえるかもしれません。
(最終更新日 2024年6月10日)