悩み(分類)

治療選択を他者に任せた



助言


医療の世界で、『自己決定』という言葉を聞きますが、人によってはこれまで生きてきたなかで、困ったことが起きた時は、人に相談して、その人の言う通りにしてきたという人もいますし、何人もの意見を聞いて、それに自分が考えていることを合わせて決める人もいます。自分だけでとことん考えて結論を出す人もいます。
つまり、いろいろな決め方があるのだと思います。

これまでなじみのなかった病気や治療の情報をその場ですべて理解し、自分にとって最大の利益をもたらす判断を下すというのは、なかなか難しいものです。治療の決定は、今後を左右する難しい決断です。告知のショックと重なり、重大な決定を下すという責任を重荷に感じるかもしれません。
ただ、どの決め方をした場合でも、決めた後で起こることは、自分自身が受けとめ、対応していくことになります。
もし、人に相談して、その人の言うとおりにしたとしても、決めたことの先に何が起こるか、相談した相手にも、あなたにもすべてがみえるわけではなく、予想がつかないことも起こりえるはずです。
大切なのは、決めるまでの『考える過程』と、決めたことへの自分自身の『納得』だと思います。

考える際、イメージすることとして、プラス(よい点)とマイナス(悪い点)にわけて考えると整理しやすいと思います。治療の効果、治療に伴う危険性(合併症や副作用など)、治療のスケジュール、費用、あなたの日常生活や社会生活(仕事や趣味など)への影響、生活の質(QOL)、というように、さまざまな角度から、考えてみましょう。
この考える過程が、自分が納得する上でも一番大切なことなのではないかと思います

もちろん、こういったプラス面とマイナス面の整理、気持ちの揺れなど、身近な家族や信頼できる友人に話し、相談しても構いません。むしろ、対話を通じて、考えや気持ちが整理しやすくなることも多いと思います。話をしていくなかで、他の方の意見を取り入れて、今後のことを決めることもあると思います。
また、あなたがかかっている医療機関の相談窓口、もしくは、がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターの相談員に相談してもよいでしょう。

様々な基準を満たし厚生労働省の指定を受けている全国のがん診療連携拠点病院等には、がん相談支援センターが設置されています。がん相談支援センター相談員としての研修を受けた看護師や医療ソーシャルワーカーなどのがん相談員が、患者さんやご家族のいろいろな不安や悩み、こころの声に耳を傾け、患者さんやご家族が、問題を整理したり行動したりするお手伝いをしています。病気や治療について、今後の療養や生活のことが心配などの質問や相談に対応しています。
また、誰かに話を聴いてもらいたい、でも身近な人には相手への気遣いもあり言いにくい、というようなときも、利用してみるとよいでしょう。
相談方法は、面談、電話相談、電子メールなどありますが、拠点病院によって相談方法も異なり、また予約が必要な場合もあります。がん相談支援センターの情報は、『国立がん研究センター がん情報サービス』の『相談先・病院を探す』ページで確認することができます。なお、がん相談支援センターの名称は医療機関によって異なる場合があります。

もし、決めたことの先に何か起こったとしても、あなたは一人ではありません。医師や他医療者、ご家族、信頼できる友人、職場の上司や同僚、同病者などさまざまな人々が、あなたをサポートしてくれると思います。

(最終更新日 2024年6月10日)


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