病理検査室
病理検査室
病理検査とは、病気が疑われる部分から組織や細胞を採取して顕微鏡で観察することにより、「がん」か「がん」でないか、どんな治療が効くか、などを診断する検査です。
病理診断には組織学的検査(組織診)、細胞学的検査(細胞診)と病理解剖があります。
組織診には、胃や大腸の内視鏡検査や肺の気管支鏡検査、子宮や乳腺の生検など、組織の一部を切り取って診断する検査と、手術によって摘出されたがんを詳しく調べて悪性度や進行度を診断する検査があります。採取された組織をパラフィンに埋め、3㎛(3/1000mm)の厚さに切って染色し、顕微鏡標本を作ります。標本は、病理診断を専門に行う医師(病理医)が観察、診断します。診断の補助や治療薬を選ぶために、タンパク質の発現をみる免疫組織化学染色や遺伝子変異をみる遺伝子検査も取り入れています。
細胞診は、喀痰や尿に含まれる細胞や婦人科などで組織の表面をこすって採った細胞をスライドガラスに塗り、パパニコロウ染色で核や細胞質を色付けし、顕微鏡で一個一個の細胞の形を観察することで、細胞の良悪性を診断する検査です。この検査は専門の認定を受けた細胞検査士(臨床検査技師)がスクリーニングを行い、病理医・細胞診専門医(医師)が判定・診断を行います。
病理解剖は、病気が原因で亡くなられた患者さんの死因や、病気の状態を明らかにするために行います。
術中迅速病理検査
手術中に行われている組織検査です。
外科的に切除されたがんが完全に取り切れているか、リンパ節に転移がないか、などを確認する検査です。摘出されたリンパ節や切除断端を-75℃に急速凍結し、5μmに薄切して標本を作製します(標本作製時間は約5分)。病理医ががんの有無を顕微鏡で観察し、手術室の執刀医に報告します。
免疫染色(免疫組織化学染色/IHC法)
免疫染色は、がんの種類によって発現が異なるタンパク質に対する抗体を使って、標本上で可視化する方法です。
免疫染色は病理診断の補助となるだけでなく、「コンパニオン診断」としてがんの治療薬選択に役立っています。
遺伝子検査/FISH法(蛍光 in situ ハイブリダイゼーション検査)
特定の遺伝子変異を持つがんに対して効果がある分子標的治療を行うためのコンパニオン診断や、病理診断の精度を高める補助として、遺伝子検査の依頼が増加しています。
病理標本を用いて、がん細胞の染色体上にある特定の遺伝子を標識し、遺伝子の変異を調べます。
また、他にもがん細胞から抽出したDNAをPCRという方法で増幅し、遺伝子の変異を調べる検査も行っています。
年度別検査実績統計表
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
生検件数 | 11,057 | 10,446 | 10,739 | 10,857 | 11,011 |
術中迅速組織標本作成 | 1,516 | 1,418 | 1,362 | 1,288 | 1,249 |
手術件数 | 4,768 | 4,541 | 4,680 | 4,508 | 4,698 |
細胞診件数 | 11,814 | 11,348 | 11,070 | 10,857 | 11,128 |
術中迅速細胞診 | 805 | 727 | 927 | 952 | 758 |
剖検件数 | 6 | 4 | 3 | 6 | 3 |