自分の助言集をつくる
EPUB形式でダウンロード
印刷用表示
治癒をめざした治療ではなく、がんの進行をおさえる『延命治療』という説明を受けられたことで、死を身近なものとして意識し、先行きのことを考え不安になってしまったのでしょう。こういうことは考え始めると、どんどん悪い方へと考えてしまいがちで、精神的にも落ち込み、ご自分がつらくなってしまいます。
こういうときは、まず今の状況に考えを切り替え、今しなければいけないことをどうしていったらよいか考えてみましょう。少なくとも、あなたは今がんという病気と向き合うための治療を続けているわけです。今大切なことは、その治療のために自分ができること、つまり自分が生きるために、治療のために、また自分の今の生活のコントロールのために、行わなければいけないことや調整を一つ一つこなしていくことだと思います。
また、がんの治療はがんを治す、あるいは押さえる治療だけではなく、緩和ケアというものも行われています。これは、がんによって起こる身体的な苦痛や精神的・社会的苦痛をやわらげる治療やケアのことです。つまり、苦しみをやわらげる治療やケアは行われています。
また、死について考えてしまうことを否定する必要はありません。無理に考えまいとすると、よけいにつらくなってしまいます。さきほど説明したように、こういうときには、死について考えてしまうことを否定し無理に考えまいとするのではなく、具体的なことを考える時間を持つことが大切です。
がんの終末期というと、ホスピスと結びついて考える方が多いようですが、緩和ケアは、終末期だけ行われるものではありません。がんと診断後に起こる様々な身体的・精神的・社会的な苦痛をやわらげる治療やケアが緩和ケアです。
そして、緩和ケアはホスピスだけで受けられるということではありません。ホスピスは、終末期を過ごす施設の一つですが、ホスピスでなくても緩和ケアは受けられます。
患者さんがこういうことを言われると、ご家族をはじめ周囲の方は、患者さんを励まそうとして「そんなこと考えないで」とか、「がんばろう」と声をかけてしまうことがあります。けれども、終末期を迎えなければならないかもしれないと考え、どこで過ごすか、どういう葬儀を考えるかは、真剣に生きていて、自分らしく生きていこうとするからです。
つまり、がんが初期であっても、進行していたとしても、そのことがきっかけで、死について考え、死の準備をすることは、自分らしく生きるための作業の一つだと思います。
緩和ケアでは、担当医や看護師だけではなく、こころの専門家(精神腫瘍科医、精神科医、臨床心理士、心理療法士など)、薬剤師、栄養士、リハビリの専門家(リハビリテーション医、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など)、ソーシャルワーカー、ボランティアなど様々な職種の人々が、チームとなって、患者さんやご家族の苦痛をやわらげるための治療やケアを行っていきます。
よりよい情報提供を行うために、ご意見やご感想をお寄せください。
いただいた評価やご意見・ご感想は、今後、このコンテンツ(情報のなかみ)に役立たせていただきます。
なお、個別の回答やご相談は、仕組み上できかねますので、お困りごとやご相談がある方は、下記「がん相談支援センター」をご利用ください。